この４投手、一軍で戦力になるか？～４月２２日・二軍戦観戦レポート①

４月２２日、ナゴヤ球場での
二軍戦（中日VS広島）を見て参りました。
今回はその観戦レポートで、
まずは投手から述べていきたいと思います。

アンダーソン＜２８歳・右投手＞

この日の先発投手。
内容は６回途中で降板、５回３分の２で、
６安打７奪三振４四球という内容でした。

（ナゴヤ球場は老朽化で球速表示が
出ない時がある。それでも由宇よりはマシだが）
MAX１５０キロ、常速１４０キロ後半の ストレートが少なくとも７割以上でした。
二軍相手なら、これで圧倒できると考えたのでしょう。
実際に５回までは中日の打者を圧倒していました。
三好だけにはタイミング合わされて、
打たれるなど苦労している感じでしたが、
中軸打者の高橋周と郡司には、
スライダーやフォークも駆使して丁寧に
対応し、抑え込みました。
そして、他の打者はほぼストレート中心で
力だけで抑え込みました。
スライダーが１３０キロ中盤、フォークが１２０キロ中盤と、
いずれも精度はまずまずながら、
上手く使いこなしていました。
またフォームもゆったりとした感じで、
全般的に余裕がある感じでした。

ただ、６回に突如として崩れたのは
謎です。
おそらく３巡目で球を見切られたのだと思いますが、
急に郡司らに打たれたり、
連打や四球を出してしまいました。
そして、根尾に長打を打たれて３失点し、
降板します。
ただ、根尾に打たれた球も １５０キロのストレートの 低めで、これは失投というよりも 根尾が上手く打ちました。
実際に、根尾はその前の２打席は アンダーソンのストレートに、 完全にお手上げでした。
それ以外の内容を含めても、
さすが７０００万以上を
投資した投手だけに、二軍では
結果として打たれたものの、
内容は先発投手として、
充分優秀だと思います。
おそらく一軍に今すぐ先発で上げても、 通用すると思います。 一軍の先発投手陣が充実しているのと、 外国人枠の関係で昇格できないのが、 残念です。
腐らずに頑張ってほしいです。

藤井黎＜２２歳・右投手＞

アンダーソンの後を受けて、
６回途中から登板し、
７回終了までに４安打で長打を
連発し、４失点。
長打に関しては１本は
記録上はヒットでしたが、
エラーみたいな内容もありました。
ただ、力投しているような 投球フォームですが、 それでも１４０キロ台前半が 大半で、スライダーやフォークも 平凡です。
何より、この程度のスピードで 全般的に球が高めなので、どうしても 長打を打たれやすいです。
今季は二軍でも成績が悪く、
三振が少なく、四球が多いのも
この投球を見れば、納得です。

このままなら、 今季は一軍に上がってくることは おそらく無いでしょう。
高卒５年目でこれだと先行き不透明が否めません。
実際にストレートは上記の事から、
マイナス５キロくらいで、
思っておいた方がいいです。
早く立て直さないと、 今のカープの投手陣の充実ぶりでは、 来季あたりには整理対象に なるかもしれません。

中田廉＜３１歳・右投手＞

8回から登場。
根尾に三塁打を打たれましたが、
石岡を三振に取った他、
あとの打者は抑えてゼロに抑えました。

ストレートのMAX１４３キロで、
スライダーは１２８キロでした。
基本はこの２枚ですが、
根尾以外の３人は手玉に取っていました。
投球術に磨きがかかっていた印象でした。
根尾に対しては、追い詰めていただけに、
上記のスライダーを長打されたのは
もったいなかったです。

全般的に、以前と変わりませんが、 少し迫力が落ちた代わりに、 投球術は上がった気がします。
実際に、被安打は打たれますが、
何とか抑えるという感じですね。
ただ、これだと一軍では少し怖いでしょう。 二軍で立て直して、投手がバテてくる 後半戦から中継ぎローテ入りが現実的な 目標でしょうね。

薮田＜２９歳・右投手＞

９回に登場。
何しろ、８回まで2対７で負けていて、
「負試合だな～」と思ったら、
9回の表に9得点して試合を
ひっくり返しての登板だけに、
本人も驚いたと思います。

内容は１イニング１三振で、
１安打打たれました。
１４７キロストレートがMAXで、 ほぼ１４０キロ代中盤のストレート ばかりの投球でした。

ワカマツに投げた球は完全に甘く入り、
容易に打たれましたが、
前の打席で勢いづいていた
郡司を三振に取ったのは、
これをチャラにするくらい良い内容でした。

１イニングなら力だけでねじ伏せられます。
ストレートの重さだけなら、
球界でも屈指なので、球速は大したことなくても、
打者の球がファールボールも全部後ろに行ってました。
実質的に球速はプラス５キロで見てもよいでしょう。

中継ぎなら、今すぐ一軍に上げていいと思います。
四球が多いですが、ワカマツの時のように、
甘く入らない限り、ストライクゾーンで
せめて行けば、結果は出るでしょう。

負け越した中日戦の傾向と、対策はこれだ！

１７日の中日戦で、
今季最大の惨敗。
これで対中日戦は、
１勝４敗とセリーグ唯一の
負け越しとなった。

話外れるが、カープは 交流戦に弱い。
昨年は交流戦で最下位で、
通算でも相当負け越している。
そして、昨年はさらに
優勝したヤクルトに大幅負け越し。
そのため、下位２球団に勝ち越し、
阪神・巨人には互角だったが、
４位になった。
つまりこれは、交流戦に弱い以上、 セリーグ内に苦手球団があると、 上位進出できなくなることを 示唆している。

そのためにも、速やかに
対中日戦の傾向と対策を
考えて実行する必要がある。
とりあえず、数字を並べてみる。

広島＜チーム＞中日

１勝４敗＜勝負＞４勝１敗

１２＜得点＞２０

２５５＜出塁率＞３１６

２３７＜長打率＞３８７

４９２＜OPS（出塁率＋長打率）＞７０３

１９２＜得点圏打率＞２６１

１（５０％）＜盗塁（成功率）＞４（１００％）

２＜失策＞４

３．９７＜防御率＞２．１１

８０％＜QS（先発投手６回３失点の確率）＞６０％

ハッキリ言って、失策とQS以外は すべて負けている。
特に出塁率や長打率などの
打撃要素、さらには前回述べた
カープ自慢の得点圏打率も、
いずれも負けている。
つまり、打線は完全に抑えられている。
さらに投手陣も、良くない。
先発のQSがこれだけ良くて、
防御率が大差ということは、
中日の中継ぎ抑えには 苦戦していることになる。

まず、敵投手から。
先発では柳・大野には苦戦している。
そして、何より中継ぎは
清水以外にはシャットアウトされている。

カープの打者もひどく、
菊池以外は、みんな抑えられている。

対策としては、手ごわい中継ぎ抑えより、 先発を打ち砕いて先制して、 逃げ切ることを図るべきだろう。

柳は球種は多いのが難点だが、
スライダー以外は実は被打率高い。
特にストレートは３５０超える被打率。
なので、球種を決めて振り切ることだ。

大野はストレートでどんどん押してくるタイプだが、
これが被打率１６７。
しかもカットボール以外は、
変化球も被打率低いという難敵。
ただ、左投手なのに左打者に被打率３５０を 越えるので、左打者を起用して対抗しよう。 あと、初球の被打率が４００以上と、 初球の入り方に明らかに問題あるので、 最初からガンガン振っていこう。

打者では大島の被OPS１０００越え （木っ端微塵にされているレベル。） 木下・阿部にもやられている。

大島はストレートの打率が３５０越え。
今日打たれた森下の他、
栗林・中崎ら中継ぎが餌食になっている。
逆に変化球には弱いので、
対策はできるはずだ。

木下と阿部はこの逆で、 変化球が得意で、ストレートに弱い。
同じく森下などはこの点に注意しよう。

あと、４盗塁１００％盗塁成功を 許している点も気になる。
特に岡林に２盗塁を許している。
会澤ら捕手陣に頑張ってほしい。
そして、逆にこちらも盗塁を どんどん仕掛けてほしい。
木下は今年は盗塁阻止率２３１と低い。
中日は失策も多いので、
足でかき回して、相手を混乱に陥れよう。

これがカープが個々の選手が平凡なのに、１２球団トップの得点が取れる理由だ！

開幕ダッシュに成功したカープ。
巨人と首位争いをするとともに、
阪神を完全にKOした。
その原動力になったのは打線と
優秀な投手力にある。
今回はその打線について考えてみる。





現時点で、１５試合で７３得点。
１試合平均５点弱であり、
１２球団全体が、投高打低の 傾向にある中で、 断トツの得点率である。





ただ、本塁打はセリーグ最下位。 チーム打率こそ同１位だが、 打率２６１ならそれほどではない。 その証拠に何より、 OPS（出塁率＋長打率。
打撃の最重要指標で、
得点との関与率が９６％）が、 ６６８でセリーグ４位。 しかも、１位の巨人が同７５５なので 大差をつけられている。
チーム出塁率３１７こそ巨人についで
２位だが、チーム長打率３５０は４位と
巨人とヤクルトだけでなく、
中日にも差をつけられている。
盗塁数もその成功率も含めで、リーグでは平均的。
つまり、選手個人の成績は、 平凡なのだ。
実際に巨人にはすべての項目で、
負けているのだから。


具体的に見ても、主軸打者の目安のOPS８００以上の選手は、
３０打席以上では西川・マクブルーム・上本の３人。
４番打者合格の同９００越えの選手はゼロ。
これは平凡である。
（巨人は同８００越えが５人で、同９００越えが岡本と坂本がいる）
この点に関しては、誠也がいた昨年以前の方が上だった。

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それではなぜ、その巨人やヤクルトを 明らかに上回る得点力になっているのか？
その答えとして、大半の解説者やファンが、
「今年のカープ打線はつながりがある」
「集中打で点が取れる」と答える人が多い。
それで間違いではないのだが、
そのメカニズムがどうなっているのか？
分析してみる。

いきなり結論を言ってしまうと、以下。

①今年はチャンスを作ることが多い。 ②そして何よりそれを見事にモノにして得点できている。

①はチームの総打席数の内、得点圏打数が占める割合が
２８％でリーグ１位（２位の巨人が２４％、ヤクルトが２２％）。
つまり、これはリーグで最も得点圏まで ランナーを出せていることの裏返し＝「チャンスを作れている」ことになる。

盗塁が平凡な数なのに、これができている理由は、
チーム犠打数が断トツでリーグ１位であること
何でもできる男、菊池涼が犠打数９で
断トツでリーグ１位。
２番打者の役割を果たしている。
そして、打撃不振の小園が
実は犠打３で菊池に次ぐ、リーグ２位。
菊池が出塁した場合は、
これで菊池が得点圏までランナーで行ける。

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また、投手も大瀬良が３犠打、 九里も２犠打。
（投手は打数が野手より当然ながら
圧倒的に少ないので、これは凄い）。
大谷翔平のような二刀流なら別だが、
投手はやはり犠打が打撃での一番の仕事である。
特に上本が８番打者で出塁率４５０を超え、
リーグ１位なので、これを投手が犠打で送れば
「事実上、上本は打席に立てば、（長打も含めると）得点圏まで
５割以上の確率で進塁できている」となるのだ。

つまりトータルで、 これだけ得点圏までランナーが 行ける確率が増えているのである。







②は何といっても、チームの得点圏打率が 断トツ１位の３３６。
（同２位の巨人が２５４だから圧倒的な差）
チーム打率より、遥かに得点圏打率が上回るという、
珍しい現象が起きている。
つまりそれくらい、得点圏の打者を ホームに生還させ得点することができている。

凄いのが、会澤と西川と坂倉の同５００越え。
マクブルームと上本も同３５０超えるなど、高い。

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実際に①の話の続きをすると、
上本は得点圏から西川の打撃で、ホームに生還し
得点になることが多い。
菊池は得点圏から、坂倉と最近はマクブルームの
打撃で同じく得点になることが多い。
坂倉は会澤と上本の打撃で得点になることが多い。

つまり、この①の犠打による進塁と、 ②の得点圏打率の高さのコンビネーションが、 １２球団１位の得点を生み出しているのだ。
これはやはり誠也の抜けた穴を、
チーム全体でカバーしようとする姿勢の表れだろう。

現在の所、これが上手くいっている。
不振や調子の悪い投手なら、
これで粉砕できる。
ただ、今回の阪神のガンケルなどの
好投手だと、この①②の「つながり」を
要所を締めて切断してくる。
そうなると、個々の選手の実力は平凡なだけに、
そこでどうするか？真価が問われるであろう。